良い呼吸がテニスのパフォーマンスに影響すること、ご存知ですか?
呼吸がエラーを起こしていると、ねじる動きや反る、丸める動きが苦手になり、テニスでスムーズに動けなくなる可能性があります。
- 手打ちが解消できない
- 腕や肩がすぐに疲れる
- トスアップがうまくできない
- テニスの後の回復が遅い
こんなお悩みを解決するためには呼吸トレーニングが必要です。
また、他の記事でよく書かれている「心理的側面」は抜きにしています。
後にご説明しますが、確かに呼吸は唯一、自律神経に直接アプローチできる方法ではありますので、リラックス効果は望めます。
ただ、あらゆる環境下でテニスをするわけですから、「呼吸が良くなれば緊張しなくなる」ということはあまり言えません。
呼吸が良くなる=緊張しなくなるは、再現性が低いのでは?(もしくは、一概にどれほど影響しているのかわからない)という持論のもと、今回は解剖学的に呼吸がどうしてテニスに重要なのかをお話していきます。
それでは早速、呼吸とテニスのパフォーマンスについて学んでいきましょう!
良い呼吸とは?
まずは、良いとされる呼吸について解説します。
呼吸の種類については、既にご存知の方も多いと思いますが、改めて確認してみてください。
結局どちらが必要なの?がわかるかと思います。
息を吸ったときに、お腹⇨胸の順番で膨らむのが正しい呼吸です。
腹式呼吸が良い、胸式呼吸が良い論争がありますが、結局どちらも膨らむのでどちらも大事です。笑
ただ、息を吸った時にお腹が360度に広がることや、下側の肋骨が側方(横)に広がるように呼吸できているか、など細かなポイントは見ていきます。
これらの評価は「横隔膜」を適切に使えているかを見ています。
この赤い筋肉が横隔膜(左右差はありますが、ちょっと画像では顕著すぎるかも…笑)。
横隔膜が息を吸う、すなわち吸気の80%を担っていると言われていますが、良い呼吸ができていない方は、首や肩の筋肉を過度に使って呼吸しています。
横隔膜を適切に使って呼吸ができていると、お腹⇨胸の順番で膨らみ、肋骨も横に広がるように呼吸ができます。
逆に横隔膜を使った呼吸ができていない方は、首や肩の筋肉が緊張したり、肩で息をする呼吸が常態化しています。
人間は、1日に23,000回ほど呼吸すると言われているので、呼吸がエラーを起こしている方は、肩こりや首こりがひどいかもしれませんね。
正しい呼吸では、横隔膜をメインに使う。
とは言ったものの、テニスの時は呼吸なんて気にしていられません。
〇〇の場面では息の吸い始めでお腹を膨らませて〜、〇〇では息の吸い終わりだから肋骨が広がって〜、なんて気にしてたら、パフォーマンスは落ちます。笑
要は、テニスをしていない時にどういう呼吸をしているのか、でテニスのパフォーマンスにどう影響していると考えられるのかを総合的に見る必要があります。
私たち専門家は、テニスをしていない普段の呼吸を見たり、皆さんの体の動きや回復の様子を見て、「呼吸から改善しないといけないんじゃない?」ということを判断しています。
「パフォーマンスアップ」を論点として考えた際に、先ほどのように細部にアプローチすることは、木を見て森を見ず状態になりますので現実的ないと言えるでしょう。
ここで言いたいことは、日常での呼吸を変えるトレーニングが、テニス中のパフォーマンスアップにも繋がるよ、ということ。
呼吸が変われば体の動かしやすさは圧倒的に変わります。
ここではお伝えしきれないので、興味のある方はトライアルレッスンで呼吸含めた体の機能について確認してみてください。
呼吸以外にも、テニスに必要な様々な機能の評価と、目標達成に向けた個別プログラムをご用意致します。
呼吸とテニスパフォーマンスの関係
では、呼吸のエラーがテニスにどう影響するのかを説明します。
- 腹筋が使ってスイングできない
- 上半身が回りづらくなる
- 体を丸める、反らすのが苦手になる
etc…
呼吸は様々なテニスのパフォーマンスに影響します。
腹筋が使ってスイングできない
私たちの体の根幹は腹筋です。
いわゆる体幹の一部になりますが、この腹筋が働くことによって、スムーズに動けたり、左右に振られてもブレずに打つことができます。
腹筋が使えないと体幹が安定しないため、スイングの際の下半身⇨上半身の力の伝達がうまくいきません。
結果として、腕だけでスイングする手打ちから抜け出せなくなります。
呼吸のエラーを起こしている人の多くが、肋骨がパカーンと前に突き出した姿勢になっています。
こうなると、肋骨と骨盤を結んでいる腹筋たちはゴムのように伸びてしまうので、使いづらくなります。
結果として腹筋が使えず、上半身も下半身も安定しないので手打ちになりがちです。
テニスのパフォーマンスを考えるとまず腹横筋は使えるようになっていて損はありません。
今回は、呼吸とテニスのパフォーマンスについてお伝えしていきますので、腹横筋とテニスのパフォーマンスについてはまた別の記事で説明しようかと思います。
テニスに必要な筋肉の概要については、こちらの記事で解説していますので、是非理解を深めてみてください。
上半身が回りづらくなる
テニスプレイヤーにとって、上半身が回りづらいことは致命的です。
ラケットのスイング動作は、最終的に上半身を回すことで行われるので、上半身が回ることは必須です。
皆さんは、下の画像のように上半身は回りますか?
50度回ることが基準と言われていますので、回らない方は呼吸のエラーの可能性が一つの要因として考えられます。
呼吸によって肋骨が前方に飛び出すと、背骨と肋骨で体を回す動きがロックされるので、上半身が回りづらくなるのです。
体が回しづらい方は、呼吸が原因となっている可能性も視野に入れておきましょう。
体を丸める、反らすのが苦手になる
これも回しづらくなるのと同様です。
例えばサーブ。
トスアップ前は体を前にかがめて軽く背中を丸め、トスアップでは背中全体を反る形を取ります。
インパクトの伸び上がり〜フォロースルーにかけては、背中が丸まるように移動し、着地後にはすぐまっすぐな背中の状態にしてスプリットステップを踏み、構えますよね。
このように、テニスでは体を丸める、反らす動きはあらゆる場面で使われ、主に背骨で行われます。
この背骨には、呼吸に関連する肋骨がついているので、呼吸エラーでそもそもの肋骨の位置が整っていないと、背骨が特定の方向で固まった動きをしやすくなってしまいます。
特に、上記のように肋骨が飛び出した姿勢では、反り腰姿勢になりやすいため、反ったままの状態から抜け出せなくなり、さらに反ることも丸めることも苦手になってしまいます。
結果、パフォーマンスの低下にも直結してしまうのです。
テニスに必要な呼吸トレーニング
呼吸の重要性についてはなんとなくお分かり頂けましたか?
呼吸が浅かったり、肋骨が飛び出すような呼吸をしている方は、腹筋を使って打てなかったり、スムーズに動けなかったりするため、自宅でのトレーニングがオススメです。
また、テニスのパフォーマンスを上げるには、ただ呼吸するだけではなく、呼吸に関連する筋肉の過度な緊張を抑えてあげる必要があります。
今回は、3つのエクササイズをご紹介しますので、家で行ってみてください。
ラットストレッチ
- 四つ這いになり、左手の前に右手を置く。
- 背中を丸めながらお尻をかかとに近づける。
- 右脇の伸びを感じたまま口で5秒息を吐く。
- 5秒息を止め、口を閉じて鼻から5秒息を吸う。
- 上記を3回繰り返したら元の体勢に戻し、左右2~3セットずつ行う。
伸ばしている脇腹が横に広がるように息を吸う。
広背筋という背中の筋肉を緩めるストレッチです。
ジミーなトレーニングですが、呼吸変えるならまずこれから!と思っています。
私のお客様からもかなり好評です。笑
バタフライ
- 仰向けに寝て両足を椅子に乗せ、膝と股関節を90度に曲げる。
- 閉じた両足のかかとで椅子を真下に押し、腰の隙間を埋める。
- 両手を小さく前ならえし、両膝と両腕を外に開く。
- 息を口から5秒吐き、5秒止める。
- 口を閉じて鼻から静かに5秒息を吸う。
- 上記を30秒1セットとし、2~3セット行う。
太もも裏を感じたままで呼吸する。
地味トレ第二弾です。
これまたかなり有効。
太もも裏を感じることがポイントです。
90-90カールアップ
- 仰向けに寝て両足を椅子に乗せ、膝と股関節を90度に曲げる。
- 膝の間にクッションなどを挟み、踵で椅子を真下に押して腰の隙間を埋める。
- 両手を頭の後ろに置き、肩が床から離れるくらいまで上半身を持ち上げる。
- 息を口から5秒吐き、5秒止める。
- 口を閉じて鼻から静かに5秒息を吸う。
- 上記を3回繰り返したら元の位置に戻し、2~3セット行う。
首に力は入れない。
腹筋と言っても単純に丸めるだけでなく、呼吸を重視したトレーニングです。
丸めすぎは腹筋の表層(腹直筋)ばかりを使ってしまうため、肩が床から離れる程度でOK。
楽に行えることもポイントです。
テニスパフォーマンスと呼吸のトレーニング まとめ
今回は、呼吸とテニスのパフォーマンスについてお伝えしていきました。
良いとされる呼吸が日常的にできていないと、腹筋が使えなかったり、上半身がうまく回らなかったりと、テニスのパフォーマンスに影響します。
呼吸には腹式呼吸と胸式呼吸がありますが、良い呼吸ではどちらも使われますので、どちらとも使えておく必要があります。
また、テニス中に呼吸を意識するのではなく、テニス以外の時間でどのような呼吸をしているかで、テニスのパフォーマンスへの影響とトレーニングメニューを組み立てていく必要があるのです。
テニスをしている以上、背中などの大きな筋肉を使いがちで、体がガチガチになりやすく、自宅のトレーニングなどでの呼吸機能改善は必須と言えるでしょう。
まずは、今回ご紹介した呼吸トレーニングで良い呼吸方法の獲得に一歩進んでみましょう。
呼吸や呼吸によるパフォーマンスへの影響は他にもたくさんあります。
人によって体の状態は異なりますので、テニスに必要な体づくりに興味のある方は、弊社のトライアルレッスンに一度お越しくださいませ。