体幹トレーニング

体幹トレーニングとは

体幹トレーニングは、体の中心部分である腹部、背中、お尻の筋肉を強化し、安定性とバランスを向上させる目的で行われるエクササイズです。

このトレーニングは、背骨(脊椎)をサポートし、姿勢を改善することで怪我の予防や運動パフォーマンスの向上を促進します。

俗にいう体幹トレーニングは、プランク、バイシクルクランチ、バードドッグなどを想像されるのではないでしょうか。

これらはテニスに限らず、日常生活やテニス以外のスポーツでも必要とされる体の基盤です。

体幹の強化は全身の筋力向上にも関わるため、テニスで速いショットを打ちたい方は必須の能力です。

体幹の構造と一般的な役割

体幹トレーニングの前に、まずは体幹の構造と役割についてご説明します。

体幹はどの部分を指すのか、そもそも体幹は何のために鍛えるのかがわからなければ、テニスのために行うといってもモチベーションが上がらないものです。

そのためにもまずはこの部分を最初に押さえておきましょう。

体幹の構造と役割

体幹とは、四肢(手足)と頭を除いた他の部分のことを指します。

手足と頭を除いた他の部分は、骨で考えると、背骨(脊柱)、骨盤、肋骨、肩甲骨などが含まれます。

筋肉で言えば、腹筋、背筋、肩甲骨についている脇の筋肉などが体幹のメインの筋肉と言えます。

そのため、腹筋とかそういった狭い概念ではありません。

腹筋は体幹の一部でテニスのパフォーマンスアップにも怪我の予防にも非常に重要な役割を持っていますが、腹筋のみが体幹の筋肉ではないことを理解しておきましょう。

体幹の役割

体幹の主な役割は、四肢を自由に動かすための安定した体中心の土台です。

人間の体は、動いてほしい関節とある程度固定(安定)させてほしい関節に分かれています。

動いてほしい関節は腕や股関節、足首などの比較的自由度が高い関節です。

自由度が高い関節は、安定した土台があるおかげでコントロールして動くことができます。

そのため、人が何らかの力を発揮する時、固定されている(安定している)部分がなければ、力を適切に発揮することはできません。

テコなどと同じで、安定した土台が体幹周りの筋肉で作られるからこそ、手足を自由に動かすことができます。

ただ単に固めるだけが体幹ではなく、自由に動かすために安定する部位をつくることこそが、体幹の目的であることを覚えておきましょう。

テニスにおける体幹トレーニングの目的

テニスにおいて、体幹は非常に重要な役割を持っています。

体幹トレーニングの1番の目的は、手足を自由に動かすために、体の中心部分を安定させることとお伝えしました。

これは、ラケットのスイング時やフットワークなど、様々な場面で重要な役割を担っています。

テニスにおける体幹トレーニングの役割
  • ボールスピードアップ
  • 安定した足場をつくる
  • 素早い切り返し
  • 怪我の予防

これらの役割について、それぞれ説明していきましょう。

ボールスピードアップ

体幹トレーニングで適切に体幹を使えるようになれば、ボールスピードを上げることができます。

ボールスピードを上げるために筋力を上げるのも重要です。

ただ、下半身〜上半身への力の伝達がうまくいかなければ、いくら筋力があってもボールのスピードはある一定までしか上がらず、効率の良いスイングができないため、ラリーもすぐに疲れてしまうでしょう。

体幹は、四肢を自由に動かすための土台になるだけでなく、下半身から上半身への力の伝達もサポートしています。

実は、腰の骨は構造上あまり回すことができないため、代わりに動くのは胸の背骨や肋骨です。

この胸の背骨は胸椎と言われ、腰や股関節周りが安定していなければうまく回ることができません。

背中、お尻、腹筋を使って腰回りを安定させることで、安定するべき部分が安定し、力の伝達がスムーズになるおかげで効率良く上半身へ力を伝えることができるようになります。

結果、スイングスピードが上がり、反発をたくさんもらえるためボールスピードが上がるのです。

体幹トレーニングによって、下半身から上半身への力の伝達がうまくなり、ボールスピードを上げることができるようになります。

素早い切り返し

テニスは、足(脚)が重要です。

テニスのラリー中、棒立ちになっている方は少ないかと思います。

棒立ちでは素早くスタートを切れないですよね。

テニス中は、浅めのスクワットに似たパワーポジションという姿勢で構えることがほとんどです。

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パワーポジションをつくるためには、体幹の強さと安定性が必要。

体幹が安定している=腹筋や股関節が使えてスクワットなどの姿勢を楽に取ることができるということです。

例えば、ネット近くにドロップショットで落とされた際、ベースラインからボールを追いかける際には、前に体重をかけてダッシュしなければなりません。

その時にパワーポジションがつくれていなかったり、1歩目を踏み出す際に体がフニャッと崩れてしまう場合、すぐに走ることができません。

相手の打球に反応して素早くボールに追いつくためにも、体幹を安定させてパワーポジションを適切につくることができる必要があります。

怪我の予防

体幹トレーニングは、腰痛や肩の痛みなど、テニスに起因する体の痛みや怪我を防止する役割もあります。

テニスの後に腰痛が出たり、肩などの痛みが出る方は、体幹を使ったスイングができていない可能性があります。

先ほどお話したように、体幹は腰回りを安定させる働きがあります。

腰回りはあまり捻ったりする動きが得意ではない関節ですので、安定させることが必要です。

腰回りが安定すれば、その上にある胸椎(胸の骨)は良く回るようになり、腰への負担は減少します。

また、体幹が安定することで手打ちの防止になり、肩や肘、手首にかかる負担は多少なり減少します。

体幹トレーニングを適切に実施すれば、腰痛や肩の痛みなどの予防に役立ちます。

現在も出てしまう方は、適切な処置の後に体幹トレーニングを実施する必要があります。

現在痛みが出ているかいないかによって、行うべき順序が異なりますので注意しましょう。

テニスに不可欠な体幹トレーニングで鍛える筋肉

それでは、実際に体幹と呼ばれる部位に含まれる、鍛えたい具体的な筋肉についてご紹介します。

インナーマッスル

インナーマッスルは4つの筋肉で構成されている体幹の筋肉です。

多裂筋(たれつきん)、腹横筋(ふくおうきん)、横隔膜、骨盤底筋の4つで骨盤と肋骨、背骨を体の前と後ろで繋ぎ止めています。

ここが鍛えるのが、テニスに必要な体幹トレーニングの第一歩と言えるでしょう。

同時に、股関節の安定性に関わる大腰筋もトレーニングするのがおすすめです。

腹筋群

先ほどのインナーマッスルも含まれる腹筋群は、表層〜深層まで4種類の筋肉で構成されており、体の表面に近いところから、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋に分類されます。

体幹 腹筋群 種類

これら腹筋群は、体をねじる動きや丸める、反らす運動の時に働き、体幹の安定性に関わる重要な筋肉です。

先ほどお話した腰椎を思い出してほしいのですが、腰椎はあまりねじる動きが得意ではありません。

代わりに、上にある胸椎はねじるのが比較的得意な構造になっています。

腹筋群含めた体幹の筋肉で腰椎を安定させることができれば、上の胸椎は良く回るようになり、スムーズな回旋動作につながるのです。

腹横筋や内腹斜筋は、腹筋群の中でも特に鍛えたい筋肉となります。

背筋群

背筋群は体の後ろ側を安定させる背中の筋肉です。

体幹において主に鍛えたい筋肉は、広背筋。

胸腰筋膜(きょうようきんまく)という膜とお尻の筋肉と一緒に働き、反る動きやダッシュする時に必要な筋肉です。

ただし、段階としては最初に鍛えるのではなく緩めなければならないことがほとんどだと考えています。

腹筋群、背筋群以外の筋肉

お尻や太もも裏、脇の筋肉など体幹に付随する様々な筋肉をトレーニングすることで、体幹の能力をさらに上げることができます。

それら詳しい筋肉の種類については、以下の記事でもご紹介していますので、以下をお読み頂いた方が理解が深まるかと思います。

是非寄り道してみてください。

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テニスに必要な体幹トレーニング例

体幹の役割や構造について理解が深まったところで、RPSパーソナルテニスで実施している体幹トレーニング例をご紹介していきます。

スイングの安定性を向上させるトレーニング

スイングの安定性を向上させるためには、しっかりとステップを踏み、体が流れないように上半身をスイングできる体幹の力が必要です。

また、安定させながらも体を回すような動きが必要となります。

そのため、バランスボールで上半身を動かすような体幹トレーニングも行っています。

バランスボールでの体の回旋トレーニング

やり方
  1. バランスボールに仰向けになる。
  2. 膝、骨盤、肩、耳が一直線になるようお尻を持ち上げる。
  3. 両手で重り(2~3kg)のダンベルなどを持ち、両手を天井に向かって突き上げる。
  4. 下半身が動かないよう重りを左右に回す。
  5. 上記を30秒間繰り返す。

下半身や腰回りを安定させたまま、上半身をねじる動きです。

フォアハンド、バックハンドなどのストローク中の動作を強く、速く行うために役立つトレーニングです。

急激な方向転換に対応する体幹強化

続いて、急激な方向転換に対応するための体幹トレーニングをご紹介します。

テニスは、相手の打球に素早く反応し、できるだけ速く動き始める能力が必要となります。

そのための体幹トレーニングをご紹介します。

素早い方向転換のための体幹トレーニング

やり方
  1. 両手でウォーターバックを持つ。
  2. 片脚を持ち上げ、横に大きく一歩踏みだす。
  3. 片脚を横に開いたスクワット姿勢になり、出した足で蹴って元に戻る。
  4. 上記を10回繰り返し、反対側も同様に行う。

体幹と言っても腹筋をすることだけが体幹トレーニングではありません。

トレーニングの中で体幹部分に重きを置き、体を移動させるようなトレーニングであれば、体幹トレーニングに含まれる(=体幹を鍛えられる)と考えています。

そのため、スクワットを応用したトレーニングなどを行うことも多いです。

また、ウォーターバックのように揺れる不安定な環境をつくることで、特定の筋肉だけで支えないよう様々な筋肉を働かせます。

これは、怪我や腰痛など体の痛みに対して有効ですので、よくトレーニングしたりしています。

肩甲骨を安定させるトレーニング

肩甲骨は、腕や肩の動きと連動して働きます。

そのため、肩甲骨の動きが悪いと肩や肘の痛みにつながることも少なくありません。

その肩甲骨は、腹筋(肋骨)と密接な関係にありますので、体幹の筋肉を使いながらトレーニングすることがおすすめです。

これは、サーブやスマッシュなどのラケットを担ぐ動作のトレーニングとして活躍します。

肩甲骨を安定させる体幹トレーニング

やり方
  1. 両手で重めのボール(メディシンボール)やダンベルを持つ。
  2. 肩膝立ちになり、頭の上に重りを持ってくる。
  3. 肘を支点とし、片方の肘を大きく回す。
  4. もう片方の肘も大きく回し、1周する。
  5. 反対回しも行い、10回ずつ行う。

立った状態では腹筋ではなく足首や膝などでバランスを取りがちな方によく使うトレーニングです。

より体幹にフォーカスした肩甲骨のトレーニングとなり、スムーズな肩の動かし方の習得に役立ちます。

テニスの体幹トレーニングの実施ポイント

テニスが上手くなるためには、体幹トレーニングは必須です。

先ほどご紹介したようなトレーニング以外にもたくさんのバリエーションがあり、どれもテニスのパフォーマンスを上げ、怪我を予防するためには重要です。

そんな体幹トレーニングにも実施のポイントがあります。

テニスの体幹トレーニングの実施ポイント
  • 姿勢・バランスを整えてから実施
  • むやみに固めようとしない
  • 痛みがある場合は実施しない

姿勢・バランスを整えてから実施

姿勢や筋肉のバランスが崩れている状態で体幹トレーニングを行っても、最大の効果は出ません。

例えば、首が前に出た状態で体幹トレーニングを行っても、本来働かせたい腹横筋などのインナーマッスルは働かない可能性があります。

その分、体をグッと固めるような腹直筋などの表層の筋肉ばかりを使ってしまうかもしれません。

これは、テニスのパフォーマンスが上がらないばかりか、痛みなどにつながる可能性があります。

RPSパーソナルテニスでは、ピラティスマシンなども活用し、姿勢・バランスを整えてから体幹トレーニングを実施しています。

むやみに固めようとしない

体幹トレーニングと聞くと、真っ先に思い浮かぶのが「プランク」ではないでしょうか?

確かに、プランクは体幹を鍛えるトレーニングとしては種目によって有効かもしれません。

ただ、実際に体をグッと固め続ける時間は、テニスのプレー中どれくらいあるでしょうか?

ある程度の刺激を腹筋など体幹の筋肉に入れるために行う、などの目的であれば理にかなっているかと思いますが、2分も3分もできたところでテニスに活かせる可能性は低いかもしれません。

プランクも活用しつつ、上半身を動かすようなトレーニングだったり、下半身との連動性を上げる体幹トレーニングに発展させる方が、テニスのパフォーマンスアップにつながります。

体を固めるようなトレーニングばかりを行うと、動きの効率性が落ちる可能性がありますので、適宜使い分けるように行っています。

(プランクが悪いトレーニングといった解釈では決してありませんのでご注意ください。)

痛みがある場合は実施しない

体幹トレーニングは、痛みや怪我の「予防」になりますが、改善の方法にはならない可能性もあります。

痛みの原因や程度にもよりますが、鍛えるよりも先に緩める方を優先的に行う必要がありますので、順番があることに注意しましょう。

特に負荷が高い体幹トレーニングでは、より体の緊張を増してしまい、痛みが助長される可能性もあります。

痛みが引き、姿勢や骨格位置、筋肉などのアンバランスが解消された際には、最終的に体幹トレーニングへ移行しなければなりません。

今の体の状態によってやるべき順番が変わることを覚えておきましょう。

テニスの体幹トレーニング まとめ

今回は、テニスのための体幹トレーニングについてご紹介しました。

体幹は、ボールのスピードを上げたり、素早く反応して相手のボールに追いつくための爆発的な力を発揮するために必要な区画です。

その体幹は、骨盤や肋骨、背骨など体の中心部分のことを指し、腹筋や背筋などによって支えられています。

体幹が使えることで手足を自由に動かす能力が上がり、スイングスピードアップや素早い切り返しが可能になるのです。

RPSパーソナルテニスでは、一人ひとりの体の状態に合わせて個別にプログラムを作成します。

体幹トレーニング前に姿勢や柔軟性などの改善が必要だと判断される方には、それらを改善してから体幹トレーニングを実施するなど、パーソナライズされたプログラムを作成しています。

ご興味のある方は、一度トライアルレッスンへお越しくださいませ。