皆さんはテニスをする際、肋骨は動かせていますか?
「腰を回す」「股関節を使う」
これはよく聞く言葉だと思いますが、肋骨ないし、肋骨と背骨、胸骨で構成される胸郭(きょうかく)はテニスのパフォーマンスに大きく影響します。
今回は、テニスと胸郭の関係性についてこんなことを書いています。
- テニスに必要な胸郭って何?
- テニスに胸郭の柔軟性(可動性)が必要な理由
- 胸郭を使うテニスの場面
- テニスのための胸郭可動性改善トレーニング
この記事を読んで理解し、胸郭の状態が変われば、今までのテニスの悩み解決の糸口になるかもしれません。
是非、トレーニングまで実践してみてください!
それでは、まず侠客ってなんぞや!?というところから説明していきますね!
胸郭って何?
胸郭とは、肋骨、脊柱(背骨:胸椎)、胸骨の3つの骨から構成されている区画を指します。
この胸郭の中には、心臓など様々な臓器があるので、それらを物理的に守ることも一つの役割です。
同時に、赤丸で囲んだ脊柱(せきちゅう)は反ったり丸まったり、回ったりできます。
それに伴い、肋骨が捻れたり、開いたり閉じたりできます。
この肋骨と肋骨についている脊柱(胸椎:きょうつい)の動きの連動で、体を回す、伸ばす、丸めるという動きができるようになるわけです。
特にテニスでは回す動きが多いので、この胸郭を上手に動かせることは非常に大事な能力ということになります。
また、この胸郭の一部である肋骨には、体幹の強化に大事な腹筋がついています。
腹筋が適切に働くことで、手脚が自由に動きますので、テニスのスムーズなスイングにつながるのです。
テニスのパフォーマンスをあげるためにも、怪我なく楽しむためにも、テニスと胸郭は切っても切れない関係なのです。
テニスに胸郭の柔軟性(可動性)が必要な理由
結論、「テニスのスイングの基盤だから」です。
まずは、そもそもの柔軟性と可動性の定義が異なるので、それらについてご説明します。
ここ間違ってしまうと、私は胸郭が硬いからストレッチが必要なんだ、ストレッチしよう、と誤った判断になってしまい、テニスの上達まで遠回りしてしまうことになります。
柔軟性と可動性の違い
柔軟性とは、単に関節の可動域、つまり動く範囲のことです。
これにはコントロールすることや素早く動かす能力は含まれておりません。
そのため、柔軟性が高ければ強いボールが打てる、早くスイングできる、ということはあり得ません。
対して、可動性は別名モビリティとも呼ばれ、コントロールしながら素早く動かすことができる可動域のことを指します。
テニスが上手くなりたい人が身につけなければならないのはモビリティ、すなわち可動性となりますが、可動性は柔軟性の影響も受けます。
そのため、柔軟性⇨可動性の順番でどちらも必要になるわけですが、どちらの問題なのかは体の状態を見るテストを実施しないとわからない、ということです。
前屈で指が地面につかない=太もも裏の筋肉が硬い、だから太もも裏のストレッチをする、は考えが安易過ぎますし、太もも裏の筋肉をストレッチしたところで一生地面につかない可能性だってあります。
脱線しましたが、ここでお話したいのはストレッチだけやっていても決して上手くならないよ、ということです。
そのため、柔軟性や可動性を身につけた上でトレーニングし、体を適応させていくことがテニス上達の秘訣とも言えます。
テニスは胸郭を回してスイングする
さて、テニスと胸郭のお話に戻りましょう。
これがテニスに胸郭の可動性が必要な理由です。
今回はフォアハンドストロークを例に見ていきましょう。
一見、腕を使ってスイングしているように見えますが、体幹部分の胸郭が回った後に遅れて腕がついてきます。
つまり、ラケットを持っている腕はおまけみたいなもんです(言い過ぎ)。
結論、胸郭が回るおかげでラケットを振ることができるので、胸郭回すトレーニングしましょう。
結局は、胸郭が周り、安定していることで速いスイングでも安定して打つことができます。
その他、テニスの時の体の動きや使い方については、各項目(フォアハンドやバックハンド)の記事でご紹介していきますね。
胸郭についてもう少し学ぶ
興味のある方はもうちょっとだけ胸郭について学んでみましょう。
興味のない方は飛ばしてください。
昔、腰を回せと言われていたことはありませんか?
腰は背骨の一部で「腰椎(ようつい)」と言われる5つの骨で構成されていて、回旋という動きが苦手です。
対して、肋骨についている背骨は胸椎(きょうつい)と呼ばれ、12個の骨が連なっており、丸める、反らす、回す動きが得意です。
腰椎は、5個の骨合計で5〜10度程度しか回らないと言われておりますが、胸椎は12個で◯度まで回ることが正常と言われています。
つまり、回しているのは胸の背骨であり、腰ではないということ。
スイングで回すべきは腰ではなく胸郭だ〜!ということです。
この胸椎を回す可動域は、くっついている肋骨の柔軟性・可動性が大きく関係していますが、ココはかなりコアな内容になってくるので、「肋骨と呼吸」という記事で書いていきますね。
完成しましたら告知しますので、ご興味のある方は是非お読みください!
胸郭の可動性はどうやって確認する?
胸郭の可動性に影響することは以下です。
- 呼吸
- 腹筋の使い方
- 背中の筋肉の硬さ
- 純粋な回旋能力
これらはセルフで確認できるものとトレーナーなどに確認してもらわなければ確認できないものがあります。
各項目について理由とチェック方法を説明しますね。
呼吸
これはセルフチェックが難しい項目ですが、胸郭の可動性に最も大きく影響します。
- 息を吸う時にお腹が膨らまない
- 下側の肋骨が前方に飛び出すように息を吸う
- 息を吐いても肋骨が下に下がらない
- 首の筋肉が緊張している
etc…
このようなエラーがないかをチェックしますが、トレーナーなど専門家でなければ判断は難しく、1人でのセルフチェックは困難です。
ただ、普段から息がしづらい、首こりや肩こりがある、鼻息が洗い、呼吸している音が自分で聞こえる、などの状態であれば、呼吸はエラーを起こしていると考えられます。
そのため、胸郭の可動性にも影響が出てしまい、テニスでうまくショットが打てなかったり、サーブの時に肩が痛い、など体に影響が出てしまっている方もいるかもしれません。
呼吸が肋骨を上手く回して綺麗にスイングする大事なポイントになりますので、後ほどご紹介するエクササイズを実践しましょう。
腹筋の使い方
腹筋は、肋骨と背骨の安定性・回旋能力に関わるため、上手く使えないとテニスのスイングにも影響します。
腹筋が使えていないと、肋骨の前側の安定性が保たれず、背骨が綺麗に回らなくなります。
(こちらも「呼吸と肋骨」の記事でご紹介しますね。)
結果として、純粋な胸郭の回旋が生まれず、ラケットを素早くスイングしたり、ボールを打つことができないのです。
そこで腹筋が使えているかのチェックをしましょう。
以下のように片脚をゆっくり持ち上げてみてください。
脚を上げてすぐに腰の隙間が浮いたり、ぐっと力が入りすぎるようであれば、腹筋は適切に使えていない可能性があります。
背中の筋肉の硬さ
主に広背筋という背中の筋肉の過度な頑張りが、テニスにおけるスイングの邪魔をします。
背中の筋肉はテニスで力強いショットを打つために重要です。
ただし、使い過ぎで硬くなる(過度に緊張する)と、そもそも肋骨を回すという動きが苦手になります。
スムーズに上半身を回して綺麗なスイングをするためには、まず広背筋を緩める必要があります。
逆に、テニスに必要な筋肉もありますので、こちらの記事を読んで頂くとより理解を深めることができます。
純粋な回旋能力
以下の写真のポーズで体を捻ってみてください。
しっかり体は回りますか?
せめて天井付近を楽に見上げられるくらいまで体は回る必要があります。
(何度回らないといけないかの指標はありますが、個人でのチェックは難しいので、今回は割愛しますね。)
純粋な上半身の回旋能力を見るテストです。
テニスのスイングに影響します。
テニスのための胸郭可動性UPトレーニング
肋骨硬いし呼吸荒いな〜という方は、以下のトレーニングがオススメです。
トレーニング前後で、上記最後に確認した体を回すテストをやってみてください。
回しやすさが変わっていれば、正しくトレーニングできている証拠です。
(個人の体の状態によって変化の有無は変わります。)
広背筋ストレッチ
まずは、広背筋のストレッチエクササイズです。
広背筋は背中の大きな筋肉で、過度に使われてしまうと腹筋を使った打ち方ができなくなります。
特に、テニスでは広背筋が使われやすいので、定期的なストレッチで過度な緊張状態を緩めておく必要があります。
- 四つ這いになり、左手の前に右手を置く。
- お尻を引いてかかとに近づける。
- 右脇の伸びを感じたまま口から5秒息を吐き、鼻から5秒息を吸う。
- 上記を3回×3セット行い、反対側も同様に行う。
腹筋トレーニング
続いて腹筋のトレーニングに移りましょう。
今回ご紹介するのはハンドレットです。
- 仰向けに寝て両足を斜めに持ち上げる。
- 軽く上半身をお越し、両手をお尻の方向へ伸ばす。
- 息を吐きながら両手を下に下ろし、吸いながら持ち上げる。
- 上記を20秒行う。
こちらは動画の方が圧倒的にわかりやすいので、動画を見て行ってみましょう!
肋骨ひねりストレッチ
最後は肋骨をひねるストレッチです。
どれをご紹介するかかなり迷いました。笑
やっぱりまずは丸めながら上半身をひねるエクササイズをやって頂きたいので、今回はローオブリークツイストをご紹介!
- 横向きになり、脚を卍の形にする。
- 肩の真下に肘を置き、肘で床を押す。
- 息を吐きながら脇の下に反対の手を通し、上半身をひねる。
- 息を吸いながら元の姿勢に戻し、上記を左右8回ずつ繰り返す。
上記の内、一つでも毎日やることが大事!
1年後の体は、今のあなたがつくっています。
テニスと胸郭 まとめ
今回は、テニスの動きに必要な胸郭についてご紹介していきました。
テニスでは肋骨と背骨、肩甲骨で構成される胸郭を回すことがパフォーマンスアップにも怪我の予防にも繋がります。
胸郭を回すことで上半身を上手に使った綺麗なスイングができるようになり、手打ちの防止にも役立ちます。
その胸郭をうまく使うためには、背中の筋肉の過度な緊張を抑えることや、腹筋を使うことが必要です。
まずは、今回ご紹介したストレッチやトレーニングから始めてみましょう。
また、皆さんがよく耳にされる「肩甲骨」もテニスのパフォーマンスアップには大事です。
ただ、そもそもの肋骨が整っていないのであれば、肩甲骨はうまく使えません。
そのため、今回は肋骨にフォーカスしてお話しました。
別の記事で肩甲骨についてはお話していきますので、まずはこの記事で肋骨含めた胸郭についてお勉強して頂き、理解した上でストレッチやトレーニングにチャレンジしてみてくださいね!
最後までお読み頂き、ありがとうございました♩