テニスは、走る、止まる、打つなどの素早い動きや急な方向転換、そしてボールを打つための全身の協調が必要とされるスポーツです。
適切な筋肉とそれを扱う能力がなければ、これらの動きを効果的かつ効率良く行うことは難しいでしょう。
テニスが上手くなるためには、テニス以外でのトレーニングが必須なんです。
じゃあ、どこを鍛えなきゃいけないの?どんなトレーニングしなきゃいけないの?
はい。そんな疑問、この記事で解決できます。
今回の記事を読むことで、
- テニスに筋肉が必要な理由
- テニスに必要な筋肉と役割について
- テニスに必要な筋肉のトレーニング方法
これらのことを理解できます!
そして、今回は下記のステップを踏んでテニスと体の役割について学んでいただけると嬉しいです!
そもそも論でなんでテニスに筋肉が必要なのか、根本を理解しましょう。
まずここが根底にないと「あれ?なんで筋トレしてるんだっけ?」と路頭に迷うことになります。
ベースを学んだら、具体化していきます。
テニスが上手くなるために、いや、テニスをするためにどんな筋肉が必要なのか、少しでも体に興味を持ってください。
体の構造をざっくり学んでいただいたら、鍛えるための鉄則を学びます。
ある程度の原理原則がありますので、そこから逸脱することはスマートではありません。
学んだら実践あるのみ!
動画を見ながら是非、実践してみてください。
ということで、早速お勉強していきましょう!
テニスに筋肉は必要?
そもそもテニスに筋肉って必要なん?根本ですね。
はい。結論「必要」です。
冒頭でもお伝えしましたが、走る、止まる、動く、打つなどの素早い動きや急な方向転換、ラケットを振るときの力強い出力が必要になるので、それらを効果的に行うためにはある一定以上の筋肉(筋力)は必要です。
例えば、私たち人間が走って一歩踏み出したとき、体重の6~10倍の衝撃が片足にかかると言われています。
私の体重が60kgですので、単純計算で最大600kgの負荷が毎度の着地時にかかっているということ。
日頃運動していない、トレーニングしていない人がいきなりラケット持ってボール追いかけたらどうなるかわかりますよね!
そこに体の使い方や運動のパターンが関係してくるので、ただテニスをやって筋肉がつけば良い、ということは間違いなくありません。
テニスだけやっていて怪我をしている方、痛みが出ている方はごまんといると思います。
つまり、テニスをするためにはテニス以外で体に負荷をかけて体づくりをする必要があるということ。
テニスをやっていれば筋肉がつく、怪我はしない、うまくなる、ということはあり得ないのです。
そして、体づくりのためにはジム以外での自宅でのトレーニングが必須。
自宅で行えるテニストレーニングが気になる方は、こちらをお読みください。
テニスに必要な筋肉と役割
下半身の筋肉
テニスだからといって上半身ばかりに着目していませんか?
テニスは「足(脚)」が大事!
ステップ、足運びがとても大事なテニス、もとい「足ニス」だからこそ、下半身の筋肉を鍛えることが必要です。
具体的には、これらの筋肉の強化が必要です。
- お尻の筋肉
- 太もも裏の筋肉
- 太もも前の筋肉
- ふくらはぎの筋肉
お尻の筋肉
お尻の筋肉といっても、大臀筋や中臀筋、小臀筋から外旋六筋(梨状筋など)まで、様々な種類があります。
どれも重要ですが、大臀筋(だいでんきん)はサーブやショットの力強いスイングに必要不可欠です。
特にサーブでは、大臀筋が背中からの力を受け止め、体全体の回転やバランスをサポートします。
フォアハンドやバックハンドのスイングにおいても、身体の回転を速めてスイングスピードを上げるための股関節の動きや安定性を強化します。
また、テニスでは素早い動きや急な方向転換が必要ですが、大臀筋が適切に働くことでそれらの動きを支え、怪我のリスクを軽減します。
さらに、大臀筋は腰や下半身の安定性を高め、ケガの予防にも貢献します。
太もも裏の筋肉
太もも裏の筋肉、通称ハムストリングス。
半腱様筋、半膜様筋、大腿二頭筋(長頭、短頭)の4つの筋肉から構成されます。
足のアクセルとして加速する役割や、減速してスムーズに止まる際の足の負担を軽減するために大活躍。
急な方向転換する際にドーンと着地してしまっていては、アキレス腱や筋肉などの体の様々な組織に負担がかかります。
適切なタイミングで加速・減速し、足にかかる負担を減少しながらもパフォーマンスを上げるためには太もも裏の筋肉の強化が必要です。
太もも前の筋肉
太もも前の筋肉は、大腿四頭筋という4つの筋肉で構成され、サーブやショットのパワフルなスイングに不可欠です。
特にサーブの際に、大腿四頭筋は太ももの伸展(膝を伸ばす動き)をサポートし、上半身を上に伸び上がらせ、力強い動きを可能にします。
また、フォアハンドやバックハンドのショット時にも、股関節、膝、足首を同時に伸ばして大きな力を生み出すためのバランスをサポートし、強いショットを打つために役立ちます。
また、膝を曲げて着地する際に適切に伸びて膝を急激に曲げないようにする働きもあるので、膝周りのケガの予防にもつながる重要な筋肉です。
ふくらはぎの筋肉
ふくらはぎの筋肉も必要です。
縄跳びなどコンスタントにジャンプしたり、立った状態を維持するために使われる筋肉ですが、一番は足首の安定性に重要だと考えています。
腓腹筋(ひふくきん)やヒラメ筋は聞いたことがあるのではないでしょうか?
実はそれ以外にも、後脛骨筋(こうけいこつきん)や腓骨筋(ひこつきん)など、足首を補強して安定した足場をつくってくれるのがふくらはぎの筋肉。
これらの筋肉を鍛えながらうまく使えるようにすることで、素早い切り返しや力強いショットを打つための力の伝達を効率良く行うことができるようになります。
ふくらはぎの筋肉も股関節周りの筋肉同様、鍛えておく方が得でしょう。
上半身の筋肉
腕を使ってラケットを振るので、もちろん上半身の筋肉も必要。
具体的には、こんな筋肉を強化することが大事です。
- お腹の筋肉(腹筋群)
- 背中の筋肉(背筋群)
- 胸の筋肉
- 肩甲骨周りの筋肉
では、ひとつずつ見ていきましょう!
お腹の筋肉(腹筋群)
お腹の筋肉は、背中や胸、肩甲骨の筋肉と共に「体幹」をつくっています。
後にあげる3つの部位の筋肉も体幹に含まれるのです。
ん?ということは、上半身は体幹が大事ってこと?
そうです。体幹はテニスが上手くなるには本当に大事。
そもそも、体幹ってどの部分を指すのかご存知ですか?
体幹は「四肢と頭頸部を除いた部位」を指すので、手足と頭を除いたすべての部分が体幹というわけです。
(文献によって体幹の定義は異なる場合があります。)
少し話が外れましたが、お腹は4つの筋肉で構成されています。
この中でも特に重要なのが、腹横筋、内腹斜筋の2つ。
より体の深くにあるお腹の筋肉です。
体幹を安定させて力強いショットを打つためにも、素早く動いたりバランスを崩してもすぐに立て直すためにも大事な筋肉です。
背中の筋肉(背筋群)
腹筋と同じく体幹を構成する筋肉には、背中の筋肉も含まれます。
主に広背筋(こうはいきん)と言われる背中の大きな筋肉は、股関節の動きに大事なお尻の筋肉と一緒に働き、体幹を背面から安定させます。
そのため、安定して強いショットを打つためには、この広背筋も必要なのです。
ただし、広背筋は基本的に鍛えるよりもまず緩めなければならない筋肉の代表格です。
腹筋群<背筋群の働きになっている方が多いため、強いショットを打つためにもまずは背筋群の過度な頑張りを抑えてあげることが大事。
懸垂(チンニング)ばかりやって背筋を鍛えてても、腹筋群が適切に使えてなければ最適な力は出せないことを覚えておきましょう。
胸の筋肉
胸の筋肉の代表格は大胸筋。
大胸筋は、腕を前に押し出す働きを持っています。
つまり、ラケットのスイングスピードを上げたり、重いボールを打つためには必要不可欠な筋肉ということ。
よくベンチプレスや腕立て伏せをしている肩がいらっしゃいますが、まさにこの大胸筋を鍛えているんです。
テニスが上手くなりたい方は、せめて腕立て伏せでご自身の体重を持ち上げられるくらいにまではなりたいものです!
肩甲骨周りの筋肉
肩甲骨って聞いたことありますか?
背中の上にある羽のような骨です。
肩甲骨にはローテーターカフ筋群という肩のインナーマッスルになる筋肉があり、肩周りの安定性をサポートしています。
肩が痛い、サーブのトスが安定しない、肩が抜ける感じがある、という方には是非鍛えてもらいたい筋肉の一つ。
そして、ローテーターカフ筋群と別にテニスが上手くなりたい方に特に鍛えてもらいたいのは前鋸筋(ぜんきょきん)です。
というより、テニスに限らずスポーツをする方、姿勢を良くしたい方、肩こりを改善したい方など、様々なお悩みを解決するために必要なのが前鋸筋です。
聞いたことがある方は少ないかもしれませんね。
こんな感じでノコギリのようにギザギザになって脇腹にかけてついています。
主にプッシュ(押す)する機能を持っていて、腹筋や背筋と密接に繋がっています。
テニスでは、ラケットを振り抜く際にプッシュしていますが、まさにこの時の動きにも関与するということです。
胸の筋肉も同じようにプッシュする機能がありますが、背中と前側の筋肉の安定性を保ちながら、力強いショットを打つためには、この前鋸筋が必要不可欠です。
テニスに必要な筋肉を鍛えるための鉄則!
整えてから鍛える
まず必要なのは、体の状態を整えてから鍛えること。
例えば、サーブでは肩や肘を高く上げなければなりません。
肋骨や肩甲骨の位置が適切でない場合、肩や肘にかかる負担が大きくなり、痛みが出る可能性があります。
体の状態が崩れたまま筋トレやテニススキルを鍛えようとしても、関節が安定しないので痛みが出てしまったり、痛みが増す原因にもなりかねません。
そのため、まずは体の状態を整えてから鍛えることが鉄則です。
筋トレ以外のエクササイズがポイント
筋トレだけでは体は整えることはできません。
体を整えるという意味はとても広義ですが、筋肉だけでなく体の左右差や自律神経を含めた体のバランスを整えるということを考えると、筋トレだけでは事足りません。
そのため、自律神経を整えるための呼吸エクササイズや、可動性(体をコントロールして動かせる範囲)を上げるためのモビリティエクササイズなどがまず必要です。
それら「体の基盤」があってはじめて筋トレなどの筋肉を増やすための鍛えるトレーニングが生きてくるんです。
そのため、筋トレ以外の体のバランスを整えるためのエクササイズの実施がまずは必要となると考えています。
特定の筋肉単体を鍛えることは少ない
テニスでは、速いショットを打ったり素早く切り返すためにたくさんの筋肉を使います。
お尻の筋肉、太ももの筋肉、背中の筋肉などたくさん鍛える必要がありますが、それらを単体で鍛えることはテニスの上達に必ずしも直結しません。
テニスは複雑な動きの連続ですので、動きそのものを鍛える、変える必要があります。
そのため、〇〇筋を鍛える必要はありますが、それらを単体で鍛えるようなトレーニングはあまりオススメではないということ。
ただ、補強の一つとして取り入れるのは良いかもしれませんね。
例えば、手首が弱くて痛みが出るから、手首を曲げるトレーニングを単体でする、などは一つの鍛え方としてアリだとは思います。
もちろん、それ単体では手首を痛めてしまうばかりですので、全体の動きやコーディネーションを鍛えるためのトレーニングを行うことは必要だと思っています。
継続が最も大切
最後のポイントは継続。
結局、継続しなければ体は変わりません。
トレーニングを行った直後に変わる体の変化の連続が何日、何ヶ月、何年と続くことで、良い体の状態が皆さんにとってのベースになります。
1回やって変わったからいいや、では体の鍛えられませんし、テニスも上手くならないんです。
テニスだって何回も何十回も何百回もやっていつの間にかできないことができていますよね。
日々、成長>停滞>減退を繰り返すことで、階段を一歩ずつ上がるように体は変わっていきます。
テニスが上手くなるためには、体を鍛えることの継続が最も重要かもしれませんね。
テニスに必要な筋肉を鍛えるトレーニング例
テニスに必要な筋肉がわかったら、あとは鍛えるだけ。
でも、ただ鍛えるのではなく、鉄則に従って適切に鍛えた方が圧倒的に効率が良いです。
今回は、4つのフェーズに分けてお伝えしますので、お家ではまず下記の順番で行ってみましょう。
整えるためのトレーニング
まずは整えるためのトレーニング。
主に骨盤と肋骨を整えるためのトレーニングです。
骨盤と肋骨は、腹筋や背筋で繋がれている体幹の中核。
ココを外しちゃあいけません。
90-90(ナインティーナインティ)カールアップというエクササイズで腹筋を使い、体の基盤である骨盤と肋骨を整えましょう。
- 仰向けに寝て椅子に足を置く
- 股関節、膝、足首を90度に曲げる
- 膝の間にクッションなどを挟む
- かかとで椅子を真下に押し、腰と床の隙間を埋める
- 両手を頭の後ろに置き、息を吐きながら上半身を持ち上げる
- 肩が床から離れるまで持ち上げ、口から吐いて鼻で吸う呼吸を3回
- 元の姿勢に戻して3セット行う
動画の方がわかりやすいので、動画見ながらやってみましょう。
ポイントは、頑張りすぎないこと。
整えるためのトレーニングは、楽に行えることが大事なんです。
肩や首がキツくならないよう、楽に丸めましょう。
可動性を上げるためのトレーニング
続いては、可動性を上げるためのトレーニング。
可動性は柔軟性とは似て非なるもの。
柔軟性はコントロールせずとも動かせる関節の可動範囲であり、可動性は、動作をコントロールして関節を適切な位置に保ったままで動かせる範囲です。
そのため、これも無理なく楽に動かせることが前提となります。
今回は、肋骨の可動性を上げるためのトレーニングをご紹介!
- 四つ這いになり、右手を頭の後ろに置く
- 左手で床を押して右肘を天井に向けるよう上半身をねじる
- 息を吐きながら元の姿勢に戻す
- 上記を左右8回ずつ行う
ポイントは、支えている方の手で床をプッシュすること。
引く⇨押す動きが相反して行われるため、テニスのあらゆる動きの改善に有効です。
これは、前鋸筋を鍛えることにも繋がりますし、背中の筋肉を鍛えることにも繋がります。
そして、それ以上にテニスに必要な肋骨の動きの習得に必要不可欠です。
習得して、速いスイング、腰や肩に負担をかけないショットを打てるようになりましょう。
体を安定させるためのトレーニング
可動性を上げたら体を安定させるためのトレーニングが必要です。
人の体は固定と分離がとても大事でして・・・
固定点があるので自由に動かせる部分ができる、ということです。
固定というのはいわゆる体幹部分。
主に腹筋を使って肋骨や骨盤などの体の基盤を安定させることで、手足が自由に動かせます。
その分、スイングスピードも上がりますし、スムーズなスイング、素早い切り返しも行うことができるんです。
今回はデッドバグという体幹トレーニングをご紹介!
- 仰向けに寝て両手足を90度に曲げる
- 腰の隙間を埋める
- 息を吐きながら右手と左足を伸ばす
- 息を吐き続けながら元の位置に戻して反対を伸ばす
- 上記を左右5回ずつ繰り返す
ポイントは腰の隙間が空かないこと。
両手足を伸ばした際に腰の隙間が浮いてしまうと腹筋が抜けて効果が薄れるので、腰の隙間は空けないようにしましょう。
上級編で、腰の隙間を手のひら1枚分空けたまま変わらないように動かすやり方もありますが、最初は腰の隙間を埋めた状態で行うようにしてみてください。
動きをスムーズにするためのトレーニング
最後に動き全体を鍛えるためのトレーニングです。
腹筋をベースとして、お尻や太もも裏など股関節周りの筋肉を鍛えるためのルーマニアンデッドリフトをご紹介!
- 両手を腰に当ててまっすぐに立つ
- 耳〜骨盤が一直線なままお尻を後ろに前屈みになる
- お尻や太もも裏の伸びを感じたら元の姿勢に戻す
- 上記を10回繰り返す
腰が過度に反ってしまったり、膝が曲がりすぎたり注意点が多くて難しいトレーニング。
でも、それ以上に効果があることは間違いありません。
股関節をうまく使って強いショットを打つために必須の動きになりますので、まずはお家でやってみましょう!
テニスに必要な筋肉 まとめ
今回は、テニスに必要な筋肉についてお伝えしていきました。
テニスが上手くなるためには、下半身や上半身にある様々な部位の筋肉を鍛える必要があります。
ですが、それらを単体で鍛えたり、体が整っていない状態で鍛えても効果的なトレーニングとはとても言えません。
テニスが上手くなるための鉄則である「整えてから鍛える」に則って、体のバランスを改善しながら鍛えることが一番の近道。
RPS パーソナルテニスでは、様々なテニスに必要な体の状態をあらゆるテストで数値化し、最短・最適でテニスが上手くなるための体づくりをサポートしています。
まずは、ご自身の体の現状を知ること、そして、理想とのギャップを見出すことが大事です。
本当に上手くなりたい、一生テニスを楽しみたいのであれば、根本である体を変えるしかありません。
興味のある方は是非一度、RPSのトライアルレッスンへお越しください。